隔膜前脂肪切除の実際

先日のブログで眼窩脂肪と挙筋腱膜のムービーをアップしました。前回のムービーはこちら
今回は、眼窩脂肪とは全く異なるまぶたの脂肪「隔膜前脂肪」のムービーです。隔膜前脂肪についてはこちら
患者さんは前回と同じ方です。
眼窩脂肪に比べて隔膜前脂肪の除去ははるかに難しい手技になります。理由は、眼窩脂肪はもともと独立したものとして「存在」していますが、隔膜前脂肪は術者が切りだしていく必要があるからです。
こういう手術のときは、詳しい解剖学的知識と3次元的にイメージしながら手術をする必要があります。切りだすものを六面体として考えて、それぞれの面を切って明らかにするとその結果切り出したいものが切除される、というような感じです。
隔膜前脂肪は眼輪筋と隔膜の間に存在するもので、減量したい範囲はまぶたの外側と内側になります。これを頭にいれてムービーをご覧ください。

ムービー内容の解説
0:00~0:12 隔膜前脂肪の前面、つまり眼輪筋との境目を明らかにしています。鈎で持ち上げているところが眼輪筋の裏面です。
0:25~ 隔膜前脂肪の裏面、つまり隔膜との境目を明らかにしています。モスキート鉗子ではさんでいるのが隔膜の断端です。
0:45~ 隔膜前脂肪の外側面をあきらかにしようとしています。このあたりから神経、血管に気をつけなければいけないエリアです。丹念な止血をしないとあっという間に血の海になってオリエンテーションがつかなくなります。
1:13~ 隔膜前脂肪の頭側面を明らかにしていきます。術野から一番奥になります。血管が豊富で、血管を切る前にバイポーラー(黒いピンセット)で焼いて出血させないようにしながらすすめます。
2:13~ ようやく隔膜前脂肪の全体像が見えてきました。これを切り出したあと皮膚の上において予定していた範囲の脂肪がとれているかどうかを調べます。不足しているようであれば、追加切除します。
※この手術の注意点は、とにかく出血をできるだけ抑えることです。乱暴な操作やいい加減な止血をすると眼輪筋が隔膜に癒着し、術後まぶたにへこみができたりひきつりができてしまいます。