下眼瞼脱脂
下まぶたは、もっとも老化の出やすい部位の一つです。それだけに、下まぶたの若返りを考えている人も多いようですが、前回の記事に書きましたようにこれが意外と難しいのです。
下まぶたの若返り法の一つに「下眼瞼脱脂」があります。この方法の優れているところは、下まぶたの表面に傷がつかないことです。それともうひとつ「下眼瞼脱脂」は皮膚を切り取ることがないので「外反」が起こりにくいことです。
逆に「下眼瞼脱脂」の弱点は術後皮膚があまることです。あまった皮膚の程度によって術前よりしわが増えることもあります。しかしこの段階で余った皮膚を切り取ることで対処できることもあります。
以上が我々美容形成外科医が考えている「下眼瞼脱脂」の常識でした。
しかしここにきて異変が起きています。最近、この手術をうけて「下まぶたが陥没した」、「下まぶたにくまができた」という人が修正希望で訪れるようになってきました。
よく拝見するとこれは「下眼瞼脱脂」で脂肪を取られすぎているようなのです。このことは以前の記事でも書きましたが、先日学会でお会いした他のクリニックの先生も「そのような患者さんが受診されて困っている」とおっしゃっていました。しかも手術を受けたクリニックが同一なのです。
一般に、美容外科の手術で「取り除く手術」の基本は「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。特に脂肪は取りすぎると戻す手術に何倍もの労力がいります。
ほとんどの患者さんにとって、とりすぎのあとのミゼラブルな結果は無縁のことですし想像できないことかもしれませんが、場合によっては取り方が少なくて変化が少ないことの方がまだ罪が軽いこともあります(高い費用をはらって全然変わっていないのは詐欺みたいなものですが・・)。