出血

どんな手術でもその行く手を阻むものは「出血」です。出血を止めることを「止血」といいますが、手術の半分はこの「止血」です。

美容外科の手術では出血多量で患者さんの容態が急変するようなことはまずありません。困るのは「術野」が血でよごれて解剖学的位置関係が分からなくなることです。

止血をしっかりしないと、術後にも出血することがあります。それは傷の治りにもよくないことです。

開業後、ほかの美容外科医の手術を見る機会がますます減ってきたので、DVD付きの教科書を買って手術を見てみようと思いました。

先日買ったのは「眼瞼下垂」手術のDVD付き教科書でした。日本語の教科書を買ったのは久しぶりです。

教科書は上手にわかりやすく書いてあり好感がもてました。

DVDを見て驚いたのは、最初から最後まで術野が血だらけだったことです。「こんなに出血していて、解剖がわかるのかな~」と思いながら見ていましたが、ふとこの先生は上手で手術件数も多いから、この状態でも間違いなく手術ができるのだ、と考えました。

しかしそのあとに「でもこれ、今から教科書を買って勉強しようと思う医者のためのものなのに、これを見て勉強になるのかな~」と考えこんでしまいました。