反転剪除法について
ワキガは医学的には「腋臭症」といいます。このワキガをなおす手術のひとつに「反転剪除法」というのがあります。
この手術法は古典的な方法で効果が確実に近いとされていますが、欠点は傷がわきを横切るようにできることと術後の圧迫が必要であることなどです。
この手術は保険が効きますので大きな病院の形成外科でおこなわれることが多いのですが、いろいろな事情で美容外科クリニックで受ける患者さんもおられます。
この反転剪除法には形成外科の手術手技の多くを必要とされます。
まず皮膚を一定の深さ(レイヤー=層)で剥離する(はがす)ことが必要です。これを脇全体に行うのですが短い傷からするのは結構難しいものです。
形成外科では皮膚を採取したり皮弁を作成する場合など皮膚を一定の深さで剥離することは日常的に必要とされるものです。
次に反転剪除法では皮膚の裏の「アポクリン腺」(=ワキガのにおいのもと)を取り除いていくのですが、過不足なく切除(剪除)することが必要です。なぜなら取り残すことは「再発」につながります。とりすぎると残った皮膚が薄くなりすぎて術後の傷の治りが非常に悪くなります。
形成外科で皮膚移植する場合、一定の厚さで皮膚を薄くする手技は必須です。
それが終わったあとには、入念な止血が必要です。直接止血の機械で行うことも重要ですが、術後の固定(タイオーバー)も重要です。このタイオーバー固定も強すぎず弱すぎずちょうど良い加減の力が必要です。
タイオーバー固定を含めてこれらは実は形成外科の手術の基本そのものです。つまり「反転剪除法」は形成外科の基本手技の宝庫なのです。
ある形成外科医の基本的な手術の腕は、反転剪除法をやらせればある程度知ることができるといえます。