形成外科の必要性
美容外科医になるには形成外科の研修が必要条件になる、ということを以前書きました。形成外科は美容外科の必要条件だが十分条件ではないことも書きました。
その意見は今でも変わっていません。
通常の美容外科医療において形成外科的な考え方を必要とする場面はそれほど多くはありません。
しかし手術を主体にした美容外科を行っていくうえでは絶対に必要だと、少なくとも私自身は考えています。
美容外科は最終的には患者さんの満足が得られるかどうか、が成否を決定します。簡単にいえば決まり切ったものがないという不安定な要素が多い中で、我々は何ができるかを考えていかなければならないわけです。
その時に唯一の指標になるのが形成外科の考え方になります。具体的にいえば「瘢痕」の考え方、「瘢痕」への対処の仕方、「瘢痕」の性状などについての知識です。
複雑な手術、たとえば何回も手術をされているような部位に再度手術をするような修正手術では患者さんの考え方と我々の考え方のギャップが一番大きくなります。
そういった手術の相談を受けるときに、我々サイドにこの形成外科的考え方がしっかり身についていると、判断に迷うことが少なくなると考えています。
美容外科医にとって、肩書きとしての形成外科専門医にはなにも意味はないと思っていますが、日々の診療において形成外科の必要性は痛感しています。