形成外科の必要性とは?
さらに続きです。形成外科の必要性についてです。
昨日は「通常の美容外科手術には形成外科の診療経験はほとんど必要ない」ということを申し上げました。
誤解のないように申し加えますが、それはあくまで「通常」の美容外科手術の話です。私の経験でいえば、難しい美容外科手術や修正手術にはやはり形成外科の知識や診療経験が絶対に必要になってきます。
たとえば「皮膚の重症外傷」の治療経験は実際に「美容外科」手術には必要ないのですが、この治療経験があれば、皮膚の損傷の原因や程度、治療のタイミングというものを理解することができます。
また、皮膚の治癒過程、瘢痕治癒の時間的経過、瘢痕修正の可能性、タイミングなども的確に知ることができるようになるのです。これを経験するにはやはり「形成外科」の実地研修が最適です。
さらに形成外科においては、顔面の組織欠損の治療には組織移植や人工物による治療を必ず行います。その基礎理論と実際の臨床経験をつむことができるのは「形成外科」研修でしかありえません。
形成外科研修を行わなかった美容外科医との決定的な違いはここにあるのです。通常の美容外科の手術にはこの判断力は必要ありませんが、美容外科手術の術後でなにか不測の事態に陥った時、その対処の仕方、最適なタイミングでどう対処していくかの判断は往々にして「形成外科」の知識経験が必要になってきます。
昨日のたとえでいえば、どんな状況でも「より早く」かつ「より安全」に車を運転するには、教習所では習わないような急ブレーキやスリップ路面での車の的確な運転操作、タイヤが滑っている状態で冷静に車体を立て直すなどの訓練が必要とされるのと同じです。
さらにいえばこういった訓練は一回経験したから終わりではなく繰り返しおこなって完璧に身につけておく必要があるということも言えるのです。