手術の説明で一番重要なこと

カウンセリングの時に、我々医師と患者さんの手術に対する根本的な考えのギャップを埋めることが難しいことがあります。

手術そのものの説明はできるものの、術後どのように経過し、どんな変化が、いつ起きるか、といったことを説明し理解していただくことに非常に苦慮します。

我々医師は、人体に損傷が起きたときに(手術は人体にとって損傷以外の何物でもありません)生体はどのように反応し、それが時間とともにどのように変化していくか、その結果はどのようなことが起きるか、それに影響する因子は何で、それをどのようにコントロールできるか、について何十年も教科書や講義で学び、臨床現場で実地に学んできています。

一方患者さんは、美容の手術全般はおろか人体の損傷に対する反応についての知識はほとんどないところから理解を始めていただくことになります。

何事もなく無事に終わる手術であれば(美容の手術の大半はそうですが・・・)、ここまでの理解は実際には必要ありません。

ところがそうでないケースでは(修正手術が代表ですが)、どうしても患者さんの手術に対する理解を深めていただいてそのうえで協力していただくことが必要になるのです。

その時に患者さんにとって一番大事なことは、『「手術」というものは、手術日に行われる手術だけではなく、手術とその術後の経過を含めたものが「手術」である』ということを理解していただくことです。

うちのクリニックでは、手術の説明はもちろんですが、術後の経過についていろいろな状況を想定して詳しく説明します。

患者さんの中には手術そのものの知識は大変豊富な方がいますが、術後の経過については知識ゼロという方がほとんどです。

修正手術の結果はすぐに出るものとさえ考えている患者さんもいます。

術後の経過についての知識こそが、我々医師だけが長年の経験を積んでやっと理解できるものです。

患者さんがカウンセリングを受けられるとき、あるいは術後の説明を受けられるときに一番注意して聞いておかなければならない点はここなのです。