眼瞼下垂手術の修正
うちのクリニックでは鼻の修正術と同じように上瞼の修正術もたくさんあります。
眼瞼下垂手術後の修正術の相談も多く受けます。
最近とても興味深い症例の修正術がありました。
数年前に他クリニックで「眼瞼下垂手術」を受けた患者さんで、術後瞼の開きは多少改善したもののいまひとつ開かないのと左右差がある、ということで修正術をすることになりました。
修正術をするときはいつもそうなのですが、前回の手術は一体どんな手術がなされているのか、非常に興味をもって手術に臨みます。
今回の手術はとても上手に丁寧に手術されていましたが、通常の挙筋腱膜前転固定とは異なる手術がなされていました。
専門的な話になるのですが、隔膜を切開して翻転する操作がしていなかったのです。
切開せずに、つまり眼窩脂肪の確認をしないで挙筋腱膜を固定していたようです。
以前にも記事に書きましたが、先天的に瞼の内側は挙筋腱膜が頭側に偏位していて眼窩脂肪を確認せずにこれを同定するのは非常に困難です。
そのためにこの患者さんは瞼の内側の挙がりが極端に不足していました。
つまり解剖と手術方法とその結果が見事に一致した患者さんだったのです。
確かに隔膜を切開せずに腱膜を固定する方法は以前の学会でも発表されたことがあるのですが、いまひとつreliableな方法ではない、という結論でした。
まさにそのことを証明したといえます。
今回の修正術によってとても良好な開瞼を得ることができたことはいうまでもありません。