肝心な情報ほど伝えられないのです

美容外科に限らず、最近の情報の伝わり方は光より早いのでは?と思うほどです。

情報の伝わる速度は年々速くなっていて、ある施術の評価や手術の問題点など医師・患者の間で情報の伝わるスピードはほとんど変わらないか、ひょっとすると患者さん側のほうが速かったりします。

ネットでの情報伝達がその原因だと思うのですが、情報の内容が正しく伝わっているかどうかというところに大きな落とし穴があります。

例えば「PRP」という施術についていえば、少し知識のある患者さんだとこれが「多血小板血漿」療法だということはもちろんですが、さらにこれが肌の若返りのための治療でその中心物質が「成長因子」であることも御存じです。

そしてさらに詳しい患者さんだと人工的な「成長因子」を添加するとパワーアップすることも御存じだったりします。そしてさらに詳しい患者さんだとこの人工的な「成長因子」を加えると効果が出過ぎるという副作用があることまで御存じだったりします。

ここまでくると普通の医療従事者とほとんどかわらない情報になります。

しかし一番重要なのはここからです。どういう場合にどのような副作用が出てしまうのか。私たちのように学会などに参加している美容外科医にはその原因やどういうケースがあったのか、その原因と考えられるものはなにか、というところまで過去の事例をもとにわかっています。いろいろな利害がからんでいますのでこれ以上の具体的なことはいえないのです。

手術でいえば「鼻中隔延長術」。鼻の手術を考えている患者さんにとってはもっともホットで魅力的な「手術方法」といわれているようです。

ところがこの手術は、術後に鼻が曲がってくることがある、というように言われています。「鼻中隔延長=鼻が曲がる」というように短絡的に美容外科医や患者さんの間に情報が伝えられているのです。

これもある条件を無視して無理な手術をしたり、オリジナルの手術を見て十分に理解することをしない術者が手術をすると不満足な結果になります。そしてそれが「すべて」のようにつたえられてしまうところに問題があるのです。

本当の情報、真実の情報、核となる情報は意外とネットではもっとも伝わりにくい、あるいは伝えられない情報なのです。