術式の進歩
オリンピックの競技をみていつも思うのは、技や記録の進歩はいったいどこまで続くのか、限界はあるのか、ということです。たとえば、水泳自由形の記録は、ほとんど毎回新記録で塗り替えられています。
このまま塗り替えられていったとしても0秒にはならないのでいつか限界が来るはずです。それが何秒なのか、いつ到達するのか、到達したら競技は続ける意味があるのか、といったことが自分の中での「オリンピックの不思議」です。
もうひとつの「不思議」は、それまで不可能と思われていた技や記録がいったん誰かによって達成されるとそれはだれもが挑戦しやすくなることです。以前までは不可能と思われていた体操の新技が次の大会ではルーティンになっていたりします。
だからこそ世界初の挑戦を成功させた人には多大な名誉が与えられるべきだと考えられます。
翻って美容外科手術の世界でも少しずつではありますが、進歩があります。最初にある手術を成功させた術者はオリンピック競技者と同じように名誉を与えられるべきでしょうか。
手術をしていると全く新しい手術をすることは非常に勇気が要りますし、患者さんのことを考えると生半可な気持ちでは挑戦できません。
入念な文献考察、術者の今までの経験などを総動員して、100%確信が持てなければ決して行ってはいけない(簡単にいえば人体実験はできない)ところが医学の難しいところです。
しかし確かに新しい手術が開発されて今まで長年困っていたことが一挙に解決することも実際にあるのです。
そういった手術をするたびに我々は、初の術者に畏敬の念を抱くとともに、勇気を持ってその医師を信頼した患者さんに感謝するのです。
それにしても新しい美容手術などというのはそう簡単に開発されるものではありません。巷の美容外科のHPなどで見かける「私が開発した手術」などとうたわれているものはほぼ全例そうではありませんので、患者さんが人体実験されるのでは?という心配は御無用です。