影の主役「瘢痕」その2
引き続き地味な瘢痕のお話。
美容外科の手術についてもっと深く知りたい、という人は、ばらばらな知識をネットで一生懸命探すよりも基本的な考え方を身につけたほうがはるかに効率がいいです。
そういう面では瘢痕の考え方は、基本中の基本になります。
美容外科医でも、この考え方をしっかり持っている医者は基本がわかっているので手術に対する姿勢もちがうし、応用がきくので何かあっても大きな間違いを起こさないものです。
まず瘢痕がいったいどのようなものなのか。基礎医学的なアプローチまでは必要ないとして、美容外科医が最低限持っている知識に基づいてお話します。
簡単に言ってしまうと瘢痕は接着剤のようなものです。
プラモデルの話で恐縮ですが、プラモデルを上手に作る人はこの接着剤を必要最小限に使ってしっかり組み上げることができます。少なすぎてはしっかり組みあがらないのでしばらくすると壊れてしまいます。多すぎると接合部分からはみ出して醜くなりますし、本来動かなくてはいけない部分まで動かなくなります。
これと同じように、生体接着材である瘢痕は手術の結果に大きく影響します。これが少ないと結果が安定しません。多すぎると醜くいろいろな不具合が生じます。
前回の記事に述べましたが、美容外科の手術には瘢痕の量のコントロールがいかに大切かということが少しわかっていただけたと思います。