影の主役「瘢痕」その3
地味な「瘢痕」の話の続きです・・・。
前々回、瘢痕のコントロールについて書きました。
コントロールする話の前に、通常、瘢痕はどれぐらい、そしてどのようにできるのかについて考えましょう。
地味なお話が続きますが、ここが大事です。
手術すると人間の体はすぐに損傷(手術も立派な損傷です)を修復するメカニズムが働きだします。
顔であれば、1週間ですでに瘢痕はできつつあります。瘢痕は接着剤、といいました。糸を抜いても傷は簡単に開かなくなります。
その後3~6ヶ月はどんどん瘢痕が増えていってその後に徐々に吸収されていきます。
吸収されていく、というところが普通の接着剤と違って人間の体の素晴らしいところです。我々美容外科医もこれにずいぶん助けられているわけです。
どれぐらいかかって吸収されていくか、というと1年とも2年ともいわれますが、傷の状態がよければよいほど早く吸収されます。
手術でできた傷は比較的状態がいいので、けがの傷よりも早くきれいに治っていきますが、手術でできた瘢痕の量が多いといつまでたっても減っていきません。
傷を触るといつまでも堅いとか、つっぱるとか、癒着しているという状態は、すべて瘢痕の仕業です。
こういった状態の傷をもう一度切開すると、中はあたり一面「瘢痕」だらけです。
受けた手術の回数が多ければ多いほど瘢痕も増えていって組織なのか瘢痕なのかほとんど分からない、といったことも少なくありません。
どんな手術のときに瘢痕が増えるかは、次回にお話しします。