形成外科医の皮膚縫合
ときどき患者さんから、形成外科出身の美容外科医の先生のほうが手術の技術が高いのでしょうか?と聞かれることがあります。
私の考えでは、あまり関係ないように思います。美容外科に関連の深い科はどの科ですか?ときかれれば形成外科かな、と思いますが・・。
ただし形成外科の医局にいたときに思ったのは、皮膚の縫合はやはり形成外科の先生が一番上手だということは間違いありません。
手術の傷跡はだれが見てもわかりますので、そういった点では形成外科医の評価は一般の外科医よりも判断がつきやすいし、また形成外科医は常にきびしい評価の目にさらされているともいえます。
だからこそ形成外科医になりたてのころは皮膚の縫合練習を一生懸命します。
形成外科の皮膚縫合は、他の科とちがって「中縫い」というものを必ず行います。皮膚の裏側も糸で縫うわけです。表面も縫うのですが、その糸は抜いてしまうのに対して「中縫い」の糸はずっと残っています。
この糸が傷を広げないように働いているので、形成外科医の縫った傷は理論的に髪の毛1本ぐらいの傷で治るわけです。
美容外科でこの中縫いの技術が一番役に立つのは「フェイスリフト」です。ですから形成外科出身の先生は比較的「フェイスリフト」が好きな先生が多いようです。私も例外ではありません。
ときどき以前に私がフェイスリフトの手術をして差し上げた患者さんの傷跡を見る機会がありますが、目立たなくきれいに治っていると何となくうれしい気分になります。
こんな時は、美容外科医になる前に形成外科をやっておいてよかった~と思えるのです。