術後のアンバランス
先日、カウンセリング中に患者さんから「先生、わたしここのたるみだけがとれればいいんです!」と口元のたるみの相談をうけました。
こういった相談はごく普通ですが、その方の場合口元だけでなく頬、下まぶた、首、おでこすべてに顕著なたるみがあったのです。
口元のたるみは「ブルドッグ」風な容貌にみられ気になるところですが、しっかりしたフェイスリフトをすると比較的改善しやすいところです。
しかしこのように全体がたるんでいる人に口元のたるみだけとることは、全体にバランスよく?たるんでいるお顔のバランスを崩すことにもつながります。
具体的には、口元のたるみが耳の上あたりに引きあがりますので頬骨付近のふくらみが強調され顔が極端に逆三角形になったり、こめかみあたりの横じわがあらたに生じたりします。
美容外科医の立場からすると、SMAS、リガメントなどを駆使して顔の一部のたるみを一生懸命引き上げるほどもともとの「バランスのよかったたるみ」を壊してしまうことになりかねないのです。
中途半端なフェイスリフトほど術後の後戻りがきますので、効果は?ですがバランスは回復しこういった問題はおこらない、といった皮肉な結果になります。
この術後に生じるアンバランスを解決する方法は引き揚げる範囲を広くする、ということになります。
一度に広い範囲のフェイスリフトをすることに抵抗があれば部分的なフェイスリフトから始めてもいいのですが、次に生じる可能性のある問題を我々も患者さんも認識しておけばトラブルは起こらないのではないかと思います。