繁盛することの弊害

美容外科の手術によるトラブルの話です。元来、美容外科医療というのは人を幸せにするものです。それにも関らず、こういった話を話題にしなければならないのはとても残念です。

最近、複数の美容外科医療関係の人から聞いた話から分かったのですが、この業界でとても流行っている「あるクリニック」(最近はいわゆる独り勝ちだそうです)でのトラブルがとても多くなっているということです。

うちのクリニックにも同じようなトラブルにあった患者さんが来院されます。とてもお気の毒なのですが修正しようがないほどでした。

断っておきますが、私とそのクリニックとの間にはなんの利害関係もありませんのでそのクリニックのことをどうこういうつもりはありません。

私が言いたいのは、「繁盛することの弊害」です。

一般に商売が繁盛することはとてもいいことのように思われますが、そうばかりではありません。周りを見渡してもそういったお店が長続きしているケースはそれほど多くないことが分かります。長続きしていてもだんだん質が落ちてくることもあります。

美容業界もけっして例外ではありません。

術前に一人ひとりの患者さんに十分な時間をかけてカウンセリングすればトラブルのほとんどを防ぐことができる、というのが私の信条です。せっかく来院された患者さんであっても、施術の適応がなければお断りするようにしていることも開院以来かわることはありません。

これらは基本中の基本なのですが、大がかりな宣伝をして商売が繁盛することで、そのどちらもできなくなることは火を見るより明らかです。

少数の常識ある患者さんに支えられている今の自分のクリニックにあらためて感謝の気持ちでいっぱいです。