保険診療について

開業する前にいろいろな方(医療関係者、患者さん)から、「保険はやらないのですか?」といわれました。

現在、「八事石坂クリニック」では、保険診療の取り扱いはしていませんし、取り扱う予定もいまのところありません。

現在の日本の保険診療制度は非常に複雑になっていて、我々診療提供側でもなかなか理解しにくいものになっていますが、もともと保険制度には「相互扶助」的な考え方、要するにみんなで助け合いましょう、というものがあります。

この「相互扶助」の考えが「美容外科」の診療に向いているのかをよく考えてみると、私は否定的です。仮に日本人の大部分の人が払っている「保険料」が、ある特定の人の美容診療に使用されている、と考えるとちょっと違和感を感じざるを得ません。

しかし現場では保険適応かどうか判断することが非常に微妙なことがあります。たとえば「黒子とり」を考えてみると、患者さんが美容目的だといえば自費、癌かどうか心配だからということになれば保険。同じ医療行為でも見解が全く違ってくるわけです。

つまり保険診療は患者さん側と医療診療提供側のモラルに支えられている、つまり「性善説」にもとづいて成り立っているといえます。逆にどちらかに悪意があれば違法請求をすることはそれほど難しいことではありません。

私の愛知医大での週1回の美容外来診療も、全部「自費診療」として診療をしています。保険適応と考えられる患者さんは、そのつど保険診療を診ている医師に回すようにしています。

「八事石坂クリニック」でも同じ方針で診療をしていくつもりです。現場で自費か保険で悩むよりも、いかに診療コストを抑えて患者さんにリーズナブルな値段で美容医療を提供できるかを考える方が私の診療経営方針に合っています。