美容外科手術でトラブルを避けるために12

*このシリーズは、ある程度形成外科の素養がありこれから美容外科医になろうとしている医師向けに書いています。

続き

眼瞼下垂手術について

あなたが形成外科医専門医なら改めていうことはありません。私の場合、切開二重で眼瞼下垂手術の8割はおこなってしまいます(理由は前回を参照)。

残り2割はなにかというと、挙筋腱膜の授動操作になります。

具体的には外角や内角のリリースになります。

しかしお年寄りの本格的な眼瞼下垂でない限り、これを行ってしまうと瞼が開きすぎてコントロールを失います。

ブレーキのないアクセルだけの車に乗るようなものだということを知っておきましょう。

「挙筋腱膜固定する切開二重」も下垂手術と同じですが、挙筋腱膜の操作を覚えれば、上瞼の形を自由に作ることができます。

開きが外ピークの目、内ピークの目、丸い目など自由自在に作ることができれば、目の印象を思い通りに操れます。このあたりが瞼の美容手術の最終目的になるかと思います。

隔膜前脂肪(ROOF)切除について

術者の頭の中に瞼の3次元的な解剖が頭に入っているかどうか、はこの手術をすればすぐにわかります。

瞼には皮膚と粘膜を含めておよそ8層あり、そのうちの一つが隔膜前組織です。

眼窩脂肪と隔膜前脂肪の区別がわかっていると瞼の厚みのコントロールができるようになります。

これを切除する(減量する)ことで得られる効果がいかほどのものか、自分で手術をして術後検診を3か月までしないと本当のところがわかるようにはなりません。

まとめ

眼瞼下垂手術のマスター(具体的には挙筋腱膜について熟知すること、これは車のアクセルです)(アクセルを知らなければ車を運転できるとはいえないでしょう)(糸による簡便な下垂手術や、ミューラー筋のタッキングによる下垂手術は知っておいても損はないかもしれませんが、挙筋腱膜を知らない術者がするのは火遊びです)

隔膜前脂肪切除(ROOF切除)のマスター(これが適切に行えれば瞼の解剖はある程度分かっているといえます)(眼窩脂肪と違って、最初から独立して存在している組織ではないので自分でイメージして切り出していく手術手技が必要 ROOFの底面、上面、頭側、外側、内側それぞれを自分で見切りをつけて切り出す)(切除量と効果の関係は、術後検診をしっかりすることでしか理解できないし身につかない)