なんとなく伝わる言葉
カウンセリングをしていると、言葉の重要性をつくづく感じます。
患者さんと我々を結び付ける唯一の手段は言葉です。言葉によってイメージを共有する作業がカウンセリングといえます。
患者さんの持ってきていただいた写真や絵なども非常に参考になりますが、それをもってしても結局言葉を使って説明し質問するしかありません。
当然、患者さんの今の現状、今後のご希望、今までの経緯、どれをとっても言葉を介してしか情報を伝えられません。
美容外科で良く使われる言葉に、「自然に」とか「不自然にならないように」という表現があります。
何をもって「自然」というのか、どういう状態が「不自然」なのかというのは突き詰めると結構難しいのですが、普段からなんとなくわかって使っています。微妙で漠然とした言葉でもそのほうがリアル感がでることもあるのです。
逆にあまり突き詰めた表現をするとイメージを損なうこともあります。たとえば「寿し」という言葉はそれだけでなんとなく共通イメージがリアルに湧きますが、「死んだ魚の筋肉をご飯に載せた食べ物」と表現するとかえってイメージを損ないます。
「なんとなくイメージを伝えられる言葉」は、カウンセリングのときは誤解を招く危険性があるものの、結構重宝している面があるのです。
もしこれに正確性を求めるのであれば、漠然とした言葉の後に少しだけ具体的な表現を付け加えるとと誤解を避けられるかもしれません。
「お寿し、ちょうだい」だけじゃなく「握って」とか「さび抜きで」と付け加えるのと同じです。