ペット咬傷

犬や猫をペットとして飼っている方は多いと思います。中には家族の一員として、家族同様に犬や猫を飼っているお宅もあるようです。

しかし、私は行き過ぎた飼い方にはちょっと抵抗を感じます。その理由は「ペット咬傷」があるからです。

形成外科で仕事をしていた時のこと、外来にペット(特に犬)咬傷の患者さんがよく来院されました。受傷部位が手足ならまだしも飼い主の顔におきた咬傷は悲惨な結果になることが多いようです。鼻や唇を咬みちぎられることもあります。また動物の咬傷は汚染されていることが多いので、感染をともない瘢痕治癒(ひきつりがある傷跡)することが一般的です。

家族同様として大切に育てられたとはいえ、やはり「犬」は「動物」です。犬の発情期になると飼い主でも咬まれることがあります。特に小さなお子様のいるお宅では気をつける必要があります。

私も数年前に文字通り飼い犬に手を咬まれました。右腕で右手の機能障害が起きる深さまでは達していなかったのですが、傷跡は今でも残っています。それよりもなによりも大きな心の傷が残りました。しばらくはどんな犬でもみるたびに恐怖心がわき起こるのを感じました。

本来、人間の生活を豊かにするために飼われるペットが、家族の不幸を引き起こす原因になってしまうのは何とも皮肉です。

一度事故を引き起こしたペットは、場合によっては処分されてしまうこともあるようです。

さいわいうちの犬は半年かけて更生施設に預けて立派に生まれ変わることができました。今では毎朝私と散歩を楽しんでいます。