下眼瞼下制術(たれ目形成)の続き
CPFが曲者、と書きました。
なぜここに糸をかけるのが難しいか、それは前述したように引き上げられない膜だから結果的にとても深いところに糸をかける、ということになるからです。
術者であればわかると思うのですが、深いところに糸をかける動作はとても窮屈でやりにくいものです。
しかもかけ終わった時に必ず、引き上げる動作をしていしまいますので、そこで膜がきれてしまってかけ損じることもあります。
盲目的に、その膜を実際に見ないで糸をかける、ということをしている術者もいるとは思いますが、非常に危険だと思います。
その理由は二つ
一つは、美容外科の手術のトラブルは、この盲目的操作にあるということを思い出してください。もし深くかかってしまったらその奥には下斜筋があります。
これに糸をかけてしまったら眼球運動に制限が出る可能性が高くなります。
術後に複視の訴えがあればこの可能性大です。
もう一つの理由は、もし掛け損なっていたら、という場合です。
要するに術前にお約束した「下まぶたをさげる」という大前提が遂行できなくなります。
手術の結果をお約束できない手術、というのは患者さんはもちろん我々美容外科医にとっても非常にまずい手術になります。
こういった理由から少なくとも術者は、これがCPFだ、と確認してこれに確実に糸をかける、という手順を踏む必要があります。
実際に見てみると、白い組織の中に、なんとなく光沢のあるシルキーな組織を見つけられればそれがCPFの可能性があります。
おそらく外眼筋の手術をやり慣れている眼科医(斜視の手術をたくさんこなしている眼科医、それほど多くはないと思いますが・・・)にとっては、それほど難しくない手術だとは思うのですが、形成外科医にとってはすこし困難な手術だと考えます。