写真技術の進歩と限界
美容外科の手術の結果を判断するのは、もちろん患者さんの外見の変化です。
もっと具体的に言えば、我々美容外科医は術前・術後の写真で判断します。
したがって写真撮影には非常に気を使います。
今は写真撮影はスタッフに全面的にまかせていますが、できた写真は必ず自分自身でチェックします。
デジタルカメラになって撮影後にすぐチェックでき、便利にはなりました。
20年ぐらい前は、写真といえばスライドフィルムによるものでした。
現像するまで写真がちゃんと取れていたかどうかは判断できないので、ずいぶんいい加減な写真で満足していた部分もあります。
それでも長年写真をみて手術の良しあしを判断していると、見るほうの目もしっかりしてきます。
美容外科の手術結果がよかったかどうかは、実はかなりの眼力がいるということに、いまさらながら気づきます。
美容外科のいわゆる古典的な教科書に載っている写真も、今のわたしの目で見るとずいぶんいい加減な写真だったり手術そのものの精度が劣っているとしか思えない写真もあります。
それでもこういった写真をパッと見るととてもバランスのいい結果を出しているものが多いのです。
写真で細かくチェックするよりもパッとみて、いいと思えるような結果を出せることのほうが、いい手術であるとも言えます。
そこには写真で伝わらない、患者さんの顔の角度だったり表情だったりが微妙に隠されていて、生で拝見するとさらにいい結果に見えることがあるのです。
そのあたりが「写真による結果の判断」の限界と言えそうです。