実体と心理
最近の円安と株高現象を見ているとおもしろいことに気づきます。
つくづく経済は、人間の心理に左右されるところが大きいと感じるからです。
実体経済という言葉はあるにはありますが、景気というのは実体経済以上に人間の心理で動かされる部分が大きいようです。
円安が新聞の一面をにぎわせているようですが、ほんの4~5年前(2008~2009年ごろ)は1ドル100円ぐらいでその時にこの水準を円安という人はいませんでした。
ここのところの極端な円高(去年の2月ごろが76円ぐらい)のあとに急激に円安方向に為替が動いたので円安になっているように感じるのだと思います。
美容外科の手術を受けられた患者さんの術後の心理にも、とても似たような現象が見られます。
たとえば隆鼻術を受けられた患者さんは、しばらくすると「術前とあまり変わってないように感じる」ということをおっしゃいます。
そこで術前の写真と今の写真をパソコン上でお見せするとびっくりされて「こんなに変わっているとは思わなかった」と感想をもらします。
人間の心理には二つの重要なキーワードがあるようです。
それは「慣れ」と「変化」です。
「慣れ」は変化が少ないとその変化に気づきにくいという心理で、「変化」はそれが急激であればあるほど実際よりも変化量を大きく感じてしまう心理です。
手術の変化は急激なことが多いので術直後は「変わりすぎた」と感じる(過大評価)ことが多いようです。
逆に少しずつ時間をかけて結果が出るような施術には、結果が分かりにくい(過小評価)という感想を抱きがちです。
実体(実際の変化)と心理(結果の評価)は必ずしも一致しないという現象は、美容外科では日常茶飯事の出来事のようです。