年頭にあたって

今年もよろしくお願いします。

世界情勢を見ると不安定で混沌とした世の中に突入しているといえそうです。

人間は欲望のままに突き進んでいくと悲惨な結果になることをWWⅡでいやというほど学んだはずですが、戦争が終わって70年以上経過し世代が交代することでそろそろ悲劇を忘れた世代が世の中の大半を占めるようになってきたと考えられます。

人間はそれほど理性的な存在ではないことは明らかです。

人間の心の中に生じた「疑念」「不信」「保身」の感情は急速に「伝染」してそれをとどめることはとても難しいことと思われます。

悲劇への流れを変えることは、それほど簡単ではありません。

過去を振り返れば、個人はそういった国家間の流れを変えることを考えるよりも、国家から受ける個人の被害を最小限にすることを考えたほうが賢い選択と思われてなりません。

美容外科の診療で、理性をうしなった悲劇的な患者さんを相手にする場合、そういった患者さんに理性的になるようにさとすよりも、お互いに起こりうるさらなる悲劇を最小限にすることを考えたほうが現実的だということは、我々美容外科医の共通認識です。

困るのは、我々美容外科医がそのほかの大部分の理性的で良心的な患者さんに対してまで発展的な最良と思われる対応ができなくなり、結果的にそういった患者さんの不利益につながる可能性がでてくることです。

世の中にしても、美容診療にしても、こういった状況では、目を見張るような発展は望めないということがとても悲しく残念なことだということだけがはっきりといえることです。