拾う神あり
今日7月11日は、東京厚生年金副院長・整形外科部長の伊藤晴夫先生の退職記念パーティーのために上京しました。
若かりし頃形成外科医への道を半ばあきらめそうになっていた私を東京まで連れて行っていただいた、まさに私にとって「拾う神」が伊藤晴夫先生でした。
先生は大変手術が上手で(ちなみに今回のパーティーに出席していたドクターすべてが口をそろえて手術がうまいという評価でした)、私も今は整形外科の門外漢になってしまいましたが今まで出会った先生の中で一番手術が上手な先生でした。
それに加えてとても人格者で、指導者としても私が知る範囲では最高の先生でした。
今回の退官のご挨拶の時に先生がおっしゃった言葉にさらに感動しました。それはあれほど見事な股関節手術を短時間でされる先生が、「自分の手術中のイメージと術後にレントゲン写真でみたイメージがぴたりと一致するまでに10年はかかった」とおっしゃったのです。
その謙虚さ、自分の行った手術に対する厳しい評価、やはり手術の上手な先生はほかのドクターとは全然ちがうものだと感動しました。
そんな素晴らしい伊藤晴夫先生ですが、副院長という病院経営の重責にたいへんな御苦労をされたことに心が痛みました。
定年を前にして退職される先生のお話をうかがっていると先生の胸中にある無念さがひしひしと伝わってきました。
病院経営のために、優秀な外科系医師が今後活躍できなくなるとすれば、日本の医療の未来は暗いと言わざるを得ません。病院経営が優先されることで間接的に患者さん本位の医療が妨げられるとすれば日本国民にとってこれほど不幸なことはありません。
それにしても伊藤先生、本当にお疲れさまでした!そしてありがとうございました。