新年にあたり「まぶたの修正手術」について
2015年最初の記事になります。今年もよろしくお願いします。
年が改まりましたが、新年早々、長時間手術が続いてなかなか更新できませんでした。
最近は鼻の手術に関した記事ばかりになっていましたので、久々に瞼関係の記事をかきます。
ここ1週間でまぶたの修正手術が続きました。
鼻の修正と違ってまぶたは、前回の手術の影響が結果にはっきり出ます。
修正手術をするときには、前回の手術で何がなされているかを探りながらの手術になります。
一般の患者さんにとって「全切開重瞼術」といえば、内容が同じだと思っておられるかも知れませんが、クリニックによってやり方がかなり違います。(これは鼻の手術でもいえることで同じ名前の手術だから同じ内容、とは限らないのです。)
むしろ私のやり方と同じ手術に出合うことは稀で、なぜなら、そうであればまず修正にはならないからです。
一般に「全切開重瞼術」の術後修正には、修正できる場合と修正がかなり困難な場合があります。
修正ができるのは、重瞼ラインが消えたもしくは薄くなったのをはっきりさせる場合、狭い重瞼幅を広げる場合、目の開きが悪くなっている場合、などです。
逆に修正が困難な症例は、重瞼ラインがはっきりしすぎてそれをうすくする場合、広すぎる重瞼幅を狭くする場合、目の開きが大きすぎるのを戻す場合、などです。
そこから考えると、初回の手術で後者のような二重を希望している患者さんはよほど注意して手術を考えないといけないことがわかります。
話をもとに戻しますが、全切開には色々なやり方があり、前者のような結果になる場合、なされている手術法には共通点があります。
それは「挙筋腱膜」の処理の仕方がまずいことです。
これを間違えなければ、まず重瞼ラインが薄くなるとか、目の開きが悪くなることは少ないです。
重瞼ラインに一致するところの皮膚を腱膜に固定することでライン消失や浅くなることを防ぐことができるからです。
ライン消失の患者さんの修正手術をすると、腱膜が同定されていなかったり、違う膜に皮膚固定されていたりします。
患者さんには、腱膜が同定されていない、ということの意味が分かりにくいかもしれませんが、そもそも薄いまぶたの中からさらに薄い腱膜を見つけ出すことは意外に難しいことなのです。
また形成外科で眼瞼下垂の手術のトレーニングをしたことのない先生の中には、本当の挙筋腱膜を観たことがなくて、長年違う膜を腱膜とおもって手術している先生もおられるようです(修正手術をしているとそういったことも含めて前回手術の術者が何を考えて手術したか、全部わかってしまうものです)。
修正手術は、前回の手術の内容を推理し考えながら、それらを一つ一つ検証し結果との因果関係を探っていって明らかにしたあとで、状態をリセットし、新たに患者さんの希望した瞼になるように手術を最初からやり直す、という手順が必要になります。