甘い期待

とうとう鳩山首相、辞任となりました。平成に入って22年間で17人首相が変わったそうです。

この異常事態に私はふとこんな患者さんを思い出しました。

とにかく美容外科の知識が豊富なのに、どこのクリニックで治療を受けても満足できず、転々とクリニックをかわった末にうちのクリニックにたどりついた患者さんです。

ご希望もはっきりしています。誰にもばれずに、でもはっきりと変わりたいというのがその内容です。しかもノーダウンタイムで短期間に、という希望まで付け加えられていました。

今までのクリニックはどうでした?とお聞きすると、希望は伝えたには伝えたが、とにかく勧められる治療は全部うけたとおっしゃいました。結果が期待したものとちがうのですぐに次のクリニックへかわる、ということを繰り返してきたとおっしゃっていました。

これを民主党のこれまでの経緯と照らし合わせると全く同じです。民主党の約束は、増税はせずに(痛みをともなわないで)、福祉は手厚く、少子化対策はしっかり、脱官僚、高速道路無料、無駄な公共事業ストップ、沖縄基地国外移転と先ほどの患者さんが聴いたら泣いて喜びそうな甘ーいお話ばかりです。しかもこれらを4年間で実現するという約束つきです。

民主党の誤りは日本の国をどうしたいのか、一番重要なその1点が欠けていることだと思っています。それが決まっていれば逆に何を切り捨てられるか、どんな代償を払うのか、もはっきりしてきます。これを言わないでいいことばかりの約束ではいくらなんでも・・・うそだとばれてしまいます。

私はその患者さんに、「何をうけたいか、ではなく、どうなりたいのかをまず具体的に考えましょう」とお聞きしました。結局その患者さんは何もせずに物足りなそうに帰って行かれました。、

われわれ有権者は何かやってくれるという甘い期待をいだいて政権政党をとっかえひっかえしていると、この患者さんのように最終的には何もできずに変わることのない現実に不満を抱きさまよい続ける結果になってしまうのが関の山です。