美容外科クリニックの経営事情と患者さんからの他院修正相談の関係 3

続き

手術後に、術前の説明が足らなかったと後悔しないためにはどうしたらいいでしょうか。

結論からいえば、美容医療において「術前カウンセリング」と「術前説明」は別のものと考えましょう。

患者さんは、まずクリニックに訪れ、医師に相談しその解決法を知りたい、と考えます。

医師と患者さんの話し合いの中で、色々な解決法から選択が行われますが、その中には手術が最適かもしれないし、場合によっては患者さんが考えていた解決法が適切ではなく別の解決法のほうがいい、ということもあるでしょう。そこにはすでに決められた手術があらかじめ用意されているわけではありません。

それが本来の意味での「術前カウンセリング」です。

他の科でいえば、「診断」がそれに近いかもしれませんね・・・その「診断」にも言えることですが、的確なカウンセリングには医師の高度な知識や経験が必要です。

またそこには医師の思い込みや私意が入り込んではいけません。

結果的に一人ひとり全く違う患者さんに同じ説明がなされることは100%ありません。

おそらく患者さんは「このようなこと」を意識せずに医師に期待していますが、医師にとって本当の意味での術前カウンセリングをすることはなかなか大変な作業です。

ところが多くの美容クリニックで行われているのは「カウンセリング」ではなく、「術前説明」から始まります。

「カウンセリング」と「術前説明」は、似て非なるものです。

わかりやすくいえば、インフルエンザかもしれない、と病院にいって、いきなり医師から「タミフル」の服用説明をされて、家に帰り薬を飲んだけれど一向に治らない、慌てて別の病院にいく、ということが、美容の世界では普通に行われているわけです。

こうなってしまった最大の元凶の一つには、「無料カウンセリング」があると考えています。

医師と患者さんの間で行われるもっとも重要な「医療行為」が、「無料」であるはずがありません。

クリニック側にとって、前回触れましたが、無料カウンセリングは手術に結びつかなければ価値のないものですから(極端にいえば手術に結びつかないカウンセリングなど無駄話以下です)、その話の内容は手術を行うことが前提になっていて、結局「術前説明」になるわけです。

患者さんは、今聞いた話が、「カウンセリング」なのか「術前説明」なのか、をはっきり自覚することが大事です。

本当のカウンセリングを求めるのであれば、無料カウンセリングは意味がないことに気付きます。

さらに有料カウンセリングでも、治療法の説明で終始するカウンセリングは、「術前説明」と思って話を聞いたほうが無難です。