美術館巡りその1

南仏の美術館巡りのなかで最初に訪れたのは、カーニュ=シュル=メールの地にあるルノワールが晩年の十数年を過ごしたレ・コレットでした。

とても日当たりのいい広大な丘の上に、たくさんのオリーブの木やオレンジの木に囲まれた庭のある家は、いまではいくつかの作品が展示されている小美術館となっています。

実際に彼が使用した「車いす」やアトリエがそのままの形で保存されていて、彼がそこで数々の晩年の作品を描いている姿が容易に想像できます。

この時代の家としては窓が広くとってあり部屋のなかがとても明るく、広い庭全体を見渡すことができて、その向こうのコートダジュールの海岸まで見ることができます。(現在では家がたくさん立ち並んでしまったにもかかわらずそれでも海を見ることができます。)庭は緩やかな南斜面となっていて日当たりがとてもいいので、晩年のリウマチを患っていたルノワールにとっては癒しの空間になったと考えられます。

実際に部屋の中ばかりでなく、この庭をバックにした構図の絵が何枚もありました。

家には彼や家族が過ごした部屋以外にもいくつかの部屋があり、絵描きの友達が使用していたり、女中さんが寝泊まりしていたそうです。

その中に一つの小部屋があり日本人の画家でルノワールと親交があった梅原龍三郎の写真も飾られていました。

ルノワールは画家には珍しく家族に恵まれた人で、裕福な家の出の夫人と3人の息子に恵まれた人でもあったようです。この家も家族の手で守られていると聞きました。

ルノワールの絵に特別に興味を持ったことはありませんでしたが、ここを訪れることで彼の感じた「光」を直接知ることができ、また彼が過ごした環境そのものと家族などを知ることで、彼の作品の理解も深まったような気がしました。

このあとはシャガールの美術館を回ることに。ここもまた深い感銘をうけたのですが、詳しくは次回紹介です。