鼻の修正手術が教えてくれるもの
今年も鼻の修正手術を患者さんからそこそこ依頼されました。
鼻の修正手術は難しくて大変な面もありほとほと泣かされることもありますが、逆にそこからいろいろなことを学ばせていただくことも多く、患者さんには感謝とともにその結果に同情することもたびたびです。
修正手術で一番感じることは、前回の手術の傷をもう一度切開して中を拝見することで前医の手術のレベルがよくわかってしまうことです。
本当に上手な先生の術後は、大事な鼻の構造(主に軟骨)がきちんと温存されていてほとんど痛んでいません。術後に生じる瘢痕形成も必要最小限です。
これが乱暴な先生や下手な先生の術後だと、傷の中は分厚い瘢痕に覆われて軟骨そのものを確認することすら困難な場合があります。
そんな中で比較的多い「軟骨損傷」は、鼻の手術の基本ともいえる「プロテーゼ」挿入の術後修正でよく拝見します。
それは片方の鼻翼軟骨が中央あたりで離断されていて、おそらくプロテーゼ挿入時にあやまって切断されたものと思われます。
こういった手術は、鼻の軟骨の解剖をほとんど見たことがない術者によって引き起こされるのではないかと思います。
先日、初回私自身がプロテーゼ挿入した患者さんの鼻を、半年ぶりに今度はオープン法で鼻中隔軟骨延長術をする機会がありました。
その時鼻翼軟骨をしっかり確認しましたが、損傷も離断もなく瘢痕形成もごくわずかでした。
自分の手術の術後の状態を、たまに拝見するのも自分の手術レベルを知る意味で重要なことです。