STAP細胞の論文騒動について
一般の方にはなじみが少ないかもしれませんが、我々医師のほとんどが少なくとも一片の論文ぐらいは書いています。
ただ英文による論文になると若干ハードルが高くなるため、それほど簡単に書くことはできません。
私も僅かですが、4編ほど英文論文を書いていますが、最初の論文には準備期間として3年ぐらいかかっています。論文はこちら。
我々は形成外科や美容外科分野で世界的に認められている雑誌に投稿する目的で論文を作成します。
投稿された論文は、雑誌社から論文を査読する人に回され、価値のある論文かどうかを調べられます。
論文の内容に今までにない新しい知見が盛り込まれていてそれが科学的に正しい手法で証明されているかどうかなどを中心に査読されます。
私の場合は、5編提出して、1篇はイギリスの雑誌社に却下されました。
残りの4編も一部修正や加筆を求められた後にやっと掲載が決まる、といった経緯で、だいたいはそれが普通です。
科学的に正しい手法で得られた新しい知見であっても論文として採用されなければ何の意味もありません。
いかに自分が考えついた新しい知見を、客観的に科学的に証明できるか、そのための一番重要なものとして、データがあります。
データには写真であったり、数値であったりしますが、それは信頼性のあるものでなければいけません。
今回の騒動は、論文の肝であるこのデータの信頼性が失われているので、話になりません。
だからといってそれがSTAP細胞を否定することにはなりません。
STAP細胞の存在をもう一度、きちんとしたデータで示していただければそれでいいわけです。