羽生マジック

羽生善治さんは言わずとしれた過去最強の棋士。今週週末に竜王戦があり、これに勝つと永世竜王になり七大タイトルすべてで「永世」を獲得、これは前人未到の快挙になるということが報じられていました。

将棋界も10年ぐらい前からITによる情報革命で棋風ががらりと変わってしまったそうです。ある戦法を開発すると昔はそれで数年は通用したそうですが、いまやすぐに研究しつくされ、その戦法で勝てるのは1~2戦しかないそうです。

この棋界における情報革命の影響は、羽生さんも例外ではありません。10年前に比べると簡単に勝てなくなってきたとのことです。しかし羽生さんはそれを乗り越えて最近ますます強くなったそうです。それが今回の「永世竜王まであと1勝」になったということです。

その強さの秘訣はなにかというと、過去の戦法にこだわらず常識はずれと思える戦法でも最近ではどんどん試していく、という姿勢です。戦法にこだわらなくなると対戦相手は事前に対策を立てられなくなる、これが「羽生マジック」と呼ばれるわけです。

ここで大切なのは「羽生マジック」はただ単にあたらしいものをやみくもに追いかけていく姿勢とはちがうということです。羽生さんには今までの人一倍の努力と人並みはずれた才能があってこそできる戦法と考えられます。

美容外科界も情報革命の影響で新しい情報は瞬時に行き渡るようになってきていますが、長年外科系・形成外科などの基礎的なトレーニングを積んできた医者が新しい情報を取り入れる診療とそうでない医者の診療とでは診療姿勢がちがってくるとかんがえられます。

新しいレーザー器械、新しい注射、新しい手術、その中から本当にいいものを選りすぐってそれぞれの患者さんに提供できれば「天下無敵」の「美容マジック」に近づくことができると信じています。

参考文献:羽生善治著『決断力』