肝斑治療

昨日、横浜で「美容抗加齢医学会」にいってきました。こじんまりした学会でしたが、内容は充実していました。

最初のパネルは「肝斑」がテーマ。

自分が愛知医大でおこなっている「肝斑」の治療・考え方と、ほぼ一緒の見解でした。ベースは飲み薬で、それに塗り薬を併用し、肝斑以外の色素斑に「光治療」あるいは「Qスイッチルビー」などを照射するというものです。

ただ最近の考え方として肝斑そのものにもレーザーを使用していくこともある、というところが新しい見解でした。このときも積極的に「メラニン」をターゲットにしてレーザーを当てるのではなく1064nm、640nmなど少しメラニンから外した波長でしかも弱いパワーでうっていくなどの工夫がいるということです。なるほど。

トラネキサム酸の作用機序についてはかなり詳しいことを説明されました。「トランサミン」は作用するところが「メラニン」の合成段階の上位の反応を阻害することでメラニンを減らす、ということです。そう言われると、たしかに「トランサミン」の効果が非常に強いことと肝斑に特有に効果を発揮することがなぜだろうと思っていましたが、これが一気に解決されました。

トランサミンは抗プラスミン効果がありますが、このプラスミンがメラノサイトの重要な活性因子であることから、肝斑に効果があることに結びつくようです。一方、こうじ酸、ルシノール、アルブチンなどはこの合成段階の下位を阻害するため効果が限られています。これらの併用は有効で、なぜならメラニン合成にはいろいろなチャンネルがあってこれらがそれぞれを阻害するからです。

しかし肝斑で一番肝心な「その原因はなにか?」がいまだにはっきりしないのが現状で、これには基礎医学的アプローチが必要になりまだまだ時間がかかりそうです。