ふたつの理論

シミの治療に携わってかれこれ10年近くになりますが、外来診療で患者さんにシミの治療を説明するときに二つの理論、「下りのエスカレーター理論」と「100点満点理論」をよく使っています。

「下りのエスカレーター理論」とは

下りのエスカレーターはじっとしていると下がって行く一方なので、その位置をキープするためには常に足を動かしている必要があります。シミ治療もアンチエイジング治療もこれと同じで、一時よくなってもその状態をキープするためには何らかの治療を続けていくことが必要です、ということがいいたい時に使っています。

もう一つの「100点満点理論」とは

たとえばフィギュアスケートが100点満点競技だとして、40点を60点にするのと、80点を100点にするにはどちらが難しいかを考えます。普通に考えれば80点を100点にする方がはるかに難しいはずです。高得点圏になればなるほど大幅な得点アップは難しいのは当たり前です。

この「理論」は、シミは治療する時最初は目にみえて良くなるのですが、その後、薄くなればなるほど、よくなればよくなるほど、さらなる治療の効果、改善をもとめることがむずかしいことを説明するときに使っています。

この二つの理論は、こうやって書くとえらくあたりまえのことのように感じますが、患者さんはいざ「ご自分の美」のことになるとこの常識がわからなくなってしまうことがあるようで・・・・。