54回形成外科学会追記

形成外科学会で美容外科のセッションはそれほど多くないのが通例ですが、形成外科医にとってそれほど興味がないのかといえば、むしろ逆だと思います。

ここ10年ぐらい、形成外科医にとって美容外科への興味は増加する傾向にあるようです。

今回の学会でも美容のセッションはそれほど多くはなかったのですが、美容外科の会場は聴講者でほぼ満員でした。

私が印象に残ったのは、美容外科のアップツーデートというパネルでした。

どちらというとこれから美容外科を始めようという会員のためのパネルかと思いましたが、聴いてみてためになることが多かったように思います。

パネリストが本題として話していること以外でちょっと言及した内容にも、こちらがはっと気づかされることがあり、「あーよかった、遠くまで診療を休んで来たかいがあった!」と思えました。

ただ残念に思えたのは、プレゼンのなかで示された写真について相変わらず術前術後の撮影条件にまで気を配った写真が少なかったことです。

とくに術前写真は撮り直しが実質上できないので重要で、われわれ形成外科出身の美容外科は写真の重要性を研修医時代にいやというほど叩き込まれているわけですから、少し残念な思いをしました。

さらに極端なことをいえば、同一条件で取られていない術後写真などは簡単にごまかせるので、そういった写真で発表した演題は内容そのものの信憑性がないと判断します。

うちのクリニックでは術前写真については、化粧ありと化粧無、前髪が普通と前髪をアップ、というようにいろいろな条件で、カメラとフラッシュの条件を一定にしてかなりの枚数の写真を取ります。

術後写真も同様な条件で、とくにフラッシュは外部ストロボで条件(カメラ側ではシャッタースピード、絞りなどは当然マニュアルで一定にしていることは言うまでもない)を一緒にして撮影しています。

したがってうちのHPの写真は、そのまま論文に使用できるような写真しか載せておりません。

たんなるスナップ写真をモニターの術前術後として掲載しているクリニックは、写真に対して、ひいては患者さん自身の手術による変化そのものにも無関心であるといえます。

私はクリニックを判断する材料として、モニター写真そのものの出来栄えよりも、そういったことに配慮されているのかどうかを知ることのほうが重要だと思いますが・・。