美容外科への道~その12 博士になるのもたいへんだ
名古屋大学形成外科 博士号取得への道(1992年4月~1995年3月)
がんセンター2年間の研修が終了し、名古屋大学形成f外科に戻ってきました。以前とはちがって大学でも執刀医になる機会が増え、それと並行して博士号の論文の準備も始めました。
がんセンターでさんざんマイクロサージャリーによる頭頸部再建手術をしたので、論文もマイクロに関係したテーマで実験することにしました。(マイクロとは、直径1mm前後の血管を顕微鏡下につなぎ合わせる手術のことを言います。)
直径が細いことを除けば、針と糸で血管をつなげるだけのことです。糸は髪の毛より細い糸を使って10針から15針縫うことで、血液が漏れないように血管をつなぎます。
自分が興味を持ったのは血管をいちいち縫ってつなげる必要のない、特殊リングをつかって一気に血管をつなぐ道具です。(カップリング・ディバイスといいます)
それは当時アメリカでようやく臨床で使われるようになったのですが、日本ではほとんど使われていませんでした。
さらに人工血管(ゴアテックス)を使うことで、泣き別れになった細い血管をつなぎ合わせるということもテーマにしました。
しかし当時すでに「動脈同士の人工血管間置によるカップリングディバイスを用いた実験」に関する英語論文は山のようにありました。論文というのは世界で初めて、というものがないと価値がありません。
かろうじて静脈同士を用いた実験では、論文はほとんどなくそれを自分の論文テーマとすることに決定。
ところが、世界中で論文がほとんどない「微小静脈への人口血管移植」はいざやってみるとメチャクチャ難しくチャレンジと挫折の連続になってしまいました。詳細は次号へ