心臓に悪い手術

先日も鼻の修正手術がありました。

患者さんはとてもお若い方で、1年ほど前に他院で鼻尖縮小術と鼻尖への耳介軟骨移植を受けておられました。

本人の弁では術後から鼻尖のかたちが丸くなったのが気になるので、それを治してほしいとのことでした。

よく拝見すると、正面では鼻尖はそれほど太くはありませんが、横から見るといわゆるround tipになっていました。

鼻尖縮小の術後では一般的な変形です。

この患者さんの一番の問題は軟骨などのフレームの問題よりも皮膚が厚いことにありそうでした。手術によってさらに厚くなったのかはわかりませんが、厚みに加えて皮膚の硬さも気になりました。

今回の手術を始めてみてわかったのは、その原因は皮下にびっしりと張り付いた瘢痕によるもので、これが皮膚の弾力をうばって板のようになっていた、ということです。

もちろんこれは前回の手術後にできたものですが、はっきりした原因まではわかりません。

今回の手術でこれらをできるだけ取り除かないと鼻尖のかたちは改善できません。

この手の手術を担当された先生ならお分かりになると思いますが、皮下にかたくついている瘢痕をすべて取り除くのはとても骨の折れる作業です。

ついうっかり薄くし過ぎると、皮膚の血行まで痛めてしまい最悪鼻先の皮膚が死んでしまったり、傷の中に皮脂腺が露出して感染の原因にもなりかねません。

こうなってはこの若いお嬢さんの一生は取り返しのつかないことになります。

手術中はハラハラドキドキしながら少しづつ少しづつ皮膚を薄くしていきます。

最終的に鼻翼軟骨に皮膚をかぶせてもなんとか鼻尖のかたちが出るところまでうすくしていきました。

美容外科で鼻の手術をする場合、術前に皮膚の状態を十分把握してから手術法を考えないといい結果が出ないばかりでなく、次の手術の大きな妨げまで作ってしまうことになりかねない、というのが今回の教訓でした。