美容外科カウンセリングその6
鼻尖縮小の症例の続きになります。
鼻尖の手術の具体的なことは鼻の項目の記事で詳しく書きたいと思っています。
カウンセリングで重要なことは、患者さんの希望が「鼻先を細くしたい」、であってもちゃんと鼻先の位置・高さ・形を鼻全体の中で適切かどうか、顔の中でのバランスがどうか、をチェックすることです。
美容外科に診断はない、という先人の発言があったことを以前の記事で書きましたが、それは現状の美容外科の惨状をよく表していると思います。
具体的には、鼻先がすっきり見えない場合に一番多いのは鼻先の高さが足りない場合です。
もちろん絶対的な高さではなく相対的な高さです。
簡単に言えば鼻先の高さ(プロジェクション)が十分であれば鼻先はすっきり見えやすくなります。
ここでの問題は3つ
一つは、手術で鼻先の「高さを出す」こととその「高さを維持する」ことの難しさです。
基本的に日本人の鼻翼軟骨内側脚は貧弱な場合が多くて、それだけで鼻先の高さを高くして維持することが不可能なので必然的に軟骨移植が必要になります。しかもかなり強固な支持が必要になります。
もう一つは、高さを出すことで鼻先が目立ちすぎる(バランスが崩れる)ことです。
それを目立たないようにするためには鼻全体と前額・頬など上顔面2/3を前方に出すことが必要になります。(美容外科手術の大原則:狭い範囲で変化を出そうとするといわゆる整形っぽい顔になる、がここでもいえます)
最後に元々鼻尖の高さがあるのに鼻がすっきり見えない場合、実はこれが一番難しいケースになります。
軟骨や鼻骨などのいわゆるフレームだけの手術では難しい場合が多くて、場合によっては鼻尖のやや頭側の皮膚の切除が必要になる場合があります。
しかしこれは顔の最も目立つところに縦に直線的な傷ができますので、最終手段になります。
鼻尖の高さの評価が終われば次はその位置と形になります。特に鼻先の位置の評価は鼻全体の印象、ひいては顔の印象を決める最も重要な因子になります。
術者のセンスが一番問われるところです。
なぜかというと、ある程度は計測によって鼻先の高さと位置は計算で出せますが、鼻先の位置は患者さんの性別や年齢、その時の流行り、患者さんの好み、患者さんの職業などいろいろ考慮する必要があるからです。
私の場合、患者さんが女性である程度容姿が重要な仕事であれば、鼻先をすっきりしたいという目的のためにややアップノーズ気味にします。
ここもかなり難しいとこですが、鼻先を下げ気味にしたときの一番の問題は笑った時に小鼻が挙上されて鼻先が思った以上に垂れて見えるようになり、印象としては顔がかわいくなくなってしまうからです。
術直後は患者さんもあまり笑顔は作れませんが、しばらくして日常生活にもどり自分の笑顔を見るようになって初めて気づくことが多いようです。
余談ですが、術後の検診をきちんとすることで、こういった患者さんの正直な話が聞けるので我々はそこから学ぶことがとても多いと感じます。
顔で最も重要な要素である鼻先について、すっきり見せるにはこれだけのことをカウンセリングで判断して、しかも綿密な検診をすることで常に自分のセンスにフィードバックしていくことが必要だと考えます。
次回はもう一つの症例、小顔についてのカウンセリングの詳細です。