美容外科手術でトラブルを避けるために38
鼻中隔軟骨への移植軟骨の固定について。
ほかにもいろいろな方法があるので長所短所に触れながら比較していきましょう。
1枚の耳介軟骨を折りたたんで移植軟骨片とするやり方もよく行われているようですが、曲がりの問題や延長量に対する軟骨片が小さいことがあり、我々のクリニックの修正手術の対象になることがあります。それにも関わらず片方から軟骨を取るのはなぜでしょうか?
手術時間の短縮、面倒くさい、1枚で十分じゃね、などいろいろな理由があるとは思いますが、SEGをやり直しのきかない決定的な手術と考えるとその理由は正当化されない、というのが私の考えです。
耳甲介軟骨でなく、鼻中隔軟骨と耳珠軟骨などをいろいろ組み合わせてごった煮のような軟骨移植によるSEGをするクリニックがありますが(その修正でえらい目に合った経験からいっています)、修正の立場から言うとやめてほしいです。
ほかのクリニックのことはさておき、我々のようにトラブルを極力避ける手術をするという方針で行くなら、基本的な手術を中心にすべきで、手を抜こうとか、ちょっと興味があるからほかの方法を試そうとかはやめましょう。
ここで2枚の耳甲介軟骨で挟む方法に対して指摘される欠点について言及しておきます。
それは、挟まれた鼻中隔軟骨の血流が落ちるという問題です。それによってもともとの鼻中隔軟骨の挟まれた部分の強度が落ちるという問題ですが、それは事実です。
しかし、移植軟骨の強度は移植法が間違ってなければ低下することはほとんどありません。
つまり結果的にこの部分の軟骨全体の強度はマイナス1プラス2で強度があがることになります。
だからこそこの手術はやり直し前提ではいけないし、十分すぎるぐらいの軟骨を移植する必要があるのです。