美容外科手術でトラブルを避けるために39

学会に参加すると、鼻中隔延長術(SEG)のセッションがあり、どんな方法でやっているかを活発に討論されています。

大概は手術が簡単にできるようになりますとか傷を小さくすることができますということで「こんな新しい方法でやっています!」とか「この材料を使ってやっています!」とか誇らしげに発表されているのを聞くことがありますが、そのたびに暗澹とした思いになります。

それを患者さんに術前にきちんと説明して、つまりこの方法は新しい方法で長期的な結果はわからないがいいと思うので使ってもいいですか、と説明して、そのうえで患者さんの同意を得て、さらその患者さんの状態を術後数年にわたって検診をして、それでいい結果が出たので発表していれば、まだいいです。

しかしその多くは、実際に患者さんに用いた長期的結果についての言及はほとんどないのです。

さらに困ってしまうのは、そういったある意味外科手術では当たり前のことをその演者に問いただすと「また~、オオグチは細かいことをいちいちうるさいこと言って~」みたいな圧力を暗にかけられてしまう雰囲気があります。

そんな「つまらない」ことよりも「いろいろ新しいことやった方が楽しいじゃん」ということなんでしょうかね。

私は、今となってはSEGの新しい方法には全く興味がありません。

とにかく力が加わる鼻尖の高さや位置形を術後何年も維持できて、術後再びアプローチすることがあっても術直後と変わらない姿でいてくれる軟骨移植方法であればいいと思うからです。

私としては今のやり方であれば10年経過して安定していてくれることを確認できているのでそれ以上経過していても大丈夫だと確信しています。

次回以降は、肋軟骨によるSEGについて書いていきます。