美容外科手術でトラブルを避けるために58
形成外科研修を修了してこれから美容外科を始めようと考えているドクターに向けて書いています。
そして、術後に患者さんの満足が得られずにクレームをつけられても平気でいられるメンタルの強さを持ち合わせていない心優しい美容外科医に参考になればと思って、研修中にそれを防ぐためのポイントを身に着けられればと思って書いています。
今回は眉間の増高です。
現在我々が行っている方法は「脂肪注入」ですが、なぜ骨膜下を剥離してプロテーゼを挿入することをやめたかについて書いていきます。
鼻先から眉間まで骨膜下で剥離するとナジオン部分でかなりの抵抗があります。
ここを力ずくで突破してかなり広範囲に剥離しないと眉間まで到達できないことに加えて、大きな眉間プロテーゼを通過させるのに十分なスペースが作れません。
ナジオンが保たれているのはこの部分の骨膜が骨に強く癒着しているからです。
ここを剥離してしまうと、ブリッジ現象がおきてナジオンが不鮮明になります。
術後の変化をよく観察すると挿入したプロテーゼの高さよりもナジオンが高くなってしまうことがわかります。
それでもナジオンを保つには、強烈に鼻背と前額を高くする必要があります。
この方法ではこじんまりとした印象の薄いきれいな鼻を作るのに向いていません。
ナジオンの位置と高さをむやみに高くしないようにするには、ここの骨膜を大きく剥離しない方が無難です。
前述したように我々が現在行っている方法は、鼻背は従来通りの増高術で行い鼻根部から眉間前額にかけては脂肪注入を用いています。
これであれば広範囲に骨膜化を剥離する必要がなく術後のナジオンの大きな変化を防ぐことができます。
さらに鼻背~鼻根部~眉間~前額にかけてスムースなラインを描くことができます。
脂肪注入については次回に詳述します。