美容外科手術でトラブルを避けるために73
鼻の手術の話がとても長くなりました。
最後に「骨切り幅寄せ術」の話をして鼻の手術の話を終了したいと思います。
鼻根部から鼻尖上部までのラインを決める上で、高さを出さずにあるいはほとんど変えないで(プロテーゼ、軟骨などいずれも使用せずに)鼻筋をシャープにする方法として鼻骨骨切り幅寄せ術があります。
西洋人のような鼻が大きくハンプがある患者さんでは、同時にリダクションも行われむしろこちらの方がメインになります。
日本人の場合そこまで小さくする患者さんは少ないのですが、最近はあまり目立たないですっきりした鼻にしたいという要望が多いので骨切り幅寄せ術の適応になる患者さんが増えています。
骨切り幅寄せをした術後の患者さんを拝見すると、プロテーゼを使用しなくてもそれとなく鼻筋がはっきりして好ましい顔貌になることが多いようです。
具体的な手術方法を中心に書いていきます。
外側骨切り術には教科書的に経皮的骨切りと鼻腔内骨切りの方法があります。
経皮的骨切りは鼻周囲に2mmほどの傷が2~3か所つくことが欠点です(ほとんどすぐに目立たなくなります、これがクレームになった症例は今のところ皆無です)。
メリットは、骨粘膜の損傷が少ないことと骨切りラインをコントロールしやすいことです。
骨粘膜の損傷は鼻出血の原因になり、術後に拘縮が生じる可能性もあります。
術後の骨片の不安定さも少ないので固定は楽ですが、逆に術後の経過でやや後戻りが多いように感じます(これは骨粘膜が損傷されにくいことによるものかもしれません)。
鼻腔内骨切りは、専用のカーブした「のみ」で骨切りをしますが、のみの先のコントロールがやや難しく、また骨粘膜の損傷も起こりやすいので術後の骨片の固定が難しくなることがあります。
逆に骨と骨粘膜が切られることが多いので術後の後戻りは少ないのではないかと思っています。
いずれにしても術後の固定が重要となる手術ですので、最初は自身が行った手術の術後経過観察を十分に行って骨片の状態や骨癒合の経過をしっかり身に着ける必要があります。
鼻の手術について長々と書いてきましたが、それだけ鼻の手術はトラブルも多く難しく感じる手術で気を付けるべきポイントがとても多いことが特徴です。
次回は鼻の手術のポイントを整理してお伝えしようと思っています。