鼻の手術その13

鼻先の手術をもう少し深めていきましょう。

どちらかというと今回は専門医向けで患者さんには少し難しい内容になるかも知れません。

鼻先を支える鼻翼軟骨について考えましょう。

少し知識のあるドクターであれば、鼻先は左右の鼻翼軟骨で支えられていて3方向から支えられている(tripod理論)ということを知っていると思います。

このtripodというのは日本語でいうと「三脚」のことです。

左右の鼻翼軟骨外側脚と鼻柱を支える鼻翼軟骨内側脚の3本の軟骨で鼻先は支えられています。

この軟骨の強度は個人差が多いことは、鼻の手術をし慣れているドクターであれば知っていることです。

概して日本人の場合この軟骨は弱く、特に内側脚はとても弱くて支えになっていないことが往々にあります。九十九折りになっていたりひどく湾曲していたりします。

元々そのように弱い軟骨ですが、これが鼻の手術後に見てみるとさらに悲惨なことになっています。

断裂していることはよく見られますが、ひっくり返っていたり、反対側にひん曲がっていたり、もう原型をとどめていないことは日常茶飯事です。

ところが、幸か不幸か外見的にはそれほど大きな変形はなく、軟骨が悲惨な状態になっていることはほとんどわからないのです。

このことから、鼻の再手術の場合外観から想像するよりも軟骨の変形は強くなっていることを覚悟しておく必要があります。

そして再手術で鼻先をコントロールするにはまずこれらの変形を可及的に元にもどしてリセットすることから始めなければいけないということを知っておくことです。

リセットができたらまず考えなければいけないことは、これら元々支持の弱い鼻翼軟骨をどのように補強するかになります。