鼻の手術その22

ゴアテックスについて

ゴアテックスの微細構造は、結節と繊維で成り立っていて無数の微細孔がみられます。

この穴の大きさはいろいろなサイズが用意されていて、穴が小さいほど生地がしっかり(硬くなる)してきます。

またゴアテックスを生体内に挿入すると組織がこの穴に入り込んできます。これがゴアテックスの生体内でのなじみの良さを生み出しています。

余談ですが、ゴアテックス製の微細血管をラットに移植してその後の経過を電子顕微鏡で観察した、というのが私の医学博士の論文テーマで、オランダの形成外科医との共同研究で1996年にPRSという英文雑誌に掲載されています。

穴の大きさが大きいほど柔らかく生体とのなじみがいいといえます。

ところが穴が大きいと逆に形態の保持が難しく生体内に移植すると次第に変形・収縮し硬くなり、しかも取り出すときにかなり困難になります。

手に入るゴアテックス製インプラントのポアサイズは不明ですが、上記の理由でかなり小さな穴のものを使用していると考えられます。

材料として穴の小さなゴアテックスを使用すると本来のゴアテックスのメリットはかなり失われていると思われます

さらにここ数年前から、本家韓国からの発表でシリコン製プロテーゼと比較して感染率が若干高かったという発表があり、その演者は現在使用していないとのことでした。

こういった事情があるので現在私はゴアテックス製のインプラントは使用していません。

最後に軟骨を用いた隆鼻術を次回ご案内します。