鼻の手術の悲劇
昨日も9時間に及ぶ鼻の手術でした。
患者さんは過去2回別のクリニックで手術を受けていて本院の手術が3回目でした。
術前の診察で鼻先の状態がかなり大変なことになっていることは予想されていましたがそれにしても想定を上回る状態でした。
最近同じような変形が生じている鼻の手術をいくつか経験してきてわかったことは、左の鼻の穴に軟骨の出っ張りがある場合は要注意、ということです。
どういうことか具体的にお伝えします。
このパターンに共通する手術の誤りは、鼻尖に移植されているはずの軟骨あるいはオステオポールが、右の鼻翼軟骨の下(皮膚と軟骨の間!)に移植されていることです。
信じられないことですが、おそらく解剖というものが全く理解されていなくてむやみに剥離して(逆にそこを剥離するのは相当難しいはずなのですが)そこに移植したとしか思えません。
それによって右の鼻翼軟骨が180度ひっくり返ってそれが左の鼻翼軟骨を押し出して上記のように左の鼻腔に飛び出し変形となったようです。
それだけならまだ何とか修復できる可能性があるのですが、そもそもそんな手術をするということは全体にもかなり乱暴に剥離されているわけですから、鼻尖の皮下の瘢痕は尋常ではありません。
そうなると皮膚はしなやかさが全くなくなってしまうので、新たに鼻先の形を描出するのはとても困難です。
瘢痕を切除するといっても鼻先の血行はどんどん悪くなる一方でかなりきわどい手術になります。
・・昨日の患者さんも、鼻先を作る段階だけで2~3時間はかかり何度もやり直して何とか形にすることができた、という始末です。
疲れました・・・。
今日も鼻の手術がありますのでここらで失礼します・・・。