鼻の手術の難しさ
久々に鼻の手術について書きます。
今年1年間を振り返っても、やはり鼻の手術は多くしかも大部分が他院の修正手術でした。
前医で行われた手術には、大がかりな複雑な手術から、簡単な手術までいろいろでした。
ここからも、鼻の手術の難しさがわかります。
簡単に言ってしまうと、鼻の手術はその結果を見ないと患者さんの本当の御希望が何だったか、それをかなえる本当の手術は何だったのか、を判断するのはむずかしい、ということになります。
患者さんからすると術前に考えていた鼻にしてもらうために手術を受けるのであって、結果から判断するのでは本末転倒になります。
そこで術前に詳しくお話をさせていただいたり、写真をとったり、モニターや芸能人の写真を見てみたり、コンピューターでシミュレーションをしてみたりして、できるだけ術前の段階で術後のイメージを共有することが必要になります。
一方、鼻はまぶたとちがってそれ自体はほとんど動きがないようにみえるパーツですが、鼻の両側の頬や上口唇は表情とともにかなり大きく動き、その影響で鼻の位置や形が相対的に違って見えてしまうことがあります。
つまり無表情の時に理想的な鼻であっても、日常の生活の中で作られる表情やちょっとした顔の角度で見てみると、まるでちがった鼻に見えてしまうことがあり、それが術前に完璧に術後の鼻を予測するのを難しくしているのです。
結局、一度の手術で理想的な鼻にすることが第一ですが、ひょっとすると術後に微調整が必要になるかもしれない、ということも考慮した手術を最初にすることが結局は成功への道だと考えています。
特に「鼻先」の位置・形を決めることは、患者さんからみても、手術で決定することも、鼻の手術の中で最も難しいものです。
この場合も一度では決められないかもしれない、というように患者さんも医師も余裕を持った気持ちで手術をうけると案外いい結果になります。