鼻も家も土台が肝心
美容外科において患者さんに合った鼻の形を議論するには、術者の美的センスがかなり必要とされます。
一般的に美しいといわれている鼻が似合う患者さんのほうがむしろ少ない気がします。
英語の美容外科の教科書で美しいとされている鼻は西洋人の顔に合っているかもしれませんが、日本人の顔に合うとは限りません。
そういった意味も含めての「美的センスが必要」と申し上げました。絶対的な基準を患者さんに押しつけるのは美容外科とくに鼻の手術では御法度です。
そういった「美的センス」について一般的に申し上げるのはナンセンスですので今回は鼻の手術の基本的な考え方についてです。
鼻の手術を考えるときに、一番大事なことは、その土台です。
家を建てるときにせっかくデザインに凝ったとしても、土台がぐずぐずだといい家は建ちません。
鼻の土台は根もと(鼻根部)は骨でできていますが、鼻先になるほど軟骨によって支えられるようになります。
この軟骨のなかでとくに鼻翼軟骨と鼻中隔軟骨は、個人差が大きく人種によっても大きく異なります。
一般的に日本人の鼻の軟骨は貧弱です。鼻先を高くする目的で、こういった貧弱な土台の上に耳から採取した軟骨をのせても(耳介軟骨移植術といいます)思ったような結果になりません。
それどころか耳の軟骨を乗せた分、貧弱な鼻の軟骨自身が沈んでしまうのでプラスマイナスゼロになることもあるのです。
鼻先の高さを変えたい、思うような鼻先の形にしたい、鼻先を下げたいなどと考えるときにはまず土台がしっかりしているかどうか、貧弱であれば鼻中隔延長術を中心にした手術をかんがえることが一番早道だと考えます。