鼻尖縮小術

鼻の手術で比較的難しいものに、鼻尖縮小手術があります。

左右の鼻翼軟骨を中央に引き寄せることでいわゆる「団子鼻」をスッとした鼻先にしようとする手術です。

なぜ難しいかというと、軟骨を引き寄せれば引き寄せるほど皮膚も中央に引き寄せられて真中が盛り上がるからです。しかも鼻先が上にあがってきます。

要するに鼻尖縮小を軟骨引き寄せで行うと正面から見て鼻が上を向き横から見ると丸い鼻先になります。

美容外科の手術は、気になっているところを手術するとそれまで気にならなかったそれ以外のところが気になることがありますが、これはその典型です。

われわれ美容外科医はそれをよく知っています。そのことを手術する前に患者さんにお話しすることが大事だと思いますし、それこそがわれわれ美容外科医にしかわからないことでもあります。

それをふまえたうえで、「鼻尖縮小手術」そのものを見直してみると、左右の鼻翼軟骨を中央に引き寄せること自体が日本人の鼻先を細くすることに向いていないのではないかと考えてみました。

ほかの美容外科医で鼻翼軟骨の外側脚を引き寄せないように中間脚で切り離してしまう手術がありました。(さすがにこれは破壊的すぎると思うのです、なぜならこの手術の修正手術をした経験からちょっと大変だったので・・)

現在私の考えている方法は、鼻翼軟骨はそのままのかたちで、これらを中央に寄せないで鼻先方向・後方に左右別々に移動(回転も加わる)するというやり方です。この方法の利点は鼻の皮膚が軟骨にピタッと押し付けられるので皮膚の余分な盛り上がりがなくしかも鼻先が下を向いてくれることです。欠点は鼻先部分がなんとなく平坦で広がったようになるので、鼻筋を通すために耳介軟骨移植などが必要になることです。

症例数が少ないので決定的なことは言えませんが、出来上がりはとても自然で日本人にあった鼻になるようです。

鼻尖縮小=鼻翼軟骨引き寄せ、という常識は考え直してもいいかもしれません。