鼻中隔延長術その5

鼻中隔軟骨の軟骨膜を広く剥離してみると、本当の鼻中隔軟骨は意外と薄いことに気づきます。

たとえて言うと、よくある透明ファイルのあの薄さです。薄くてもこの軟骨は、頭側は篩骨垂直板、後方は鋤骨、尾側は口蓋骨・上顎骨によって固定されていて、ぴんと張っている状態になっています(骨は動きませんので・・)。

逆に骨の固定から外れる鼻骨先端と前鼻棘を結んだ線より前方の軟骨部分になると左右に大きく動きます。

両方の鼻の穴に親指と人差し指を思いっきり深く差しこんで挟んだものを左右に揺らしてみるとこのことがわかります。

これが「鼻中隔軟骨」です。

できるだけこの軟骨にオーバーラップする部分を大きくして固定していくのですが、固定する方法は糸で「マットレス縫合」で数箇所から10数か所固定していきます。

軟骨は糸でも容易に切れてしまいますのでマットレス縫合でバイトを広くとって固定していくのがコツです。

延長量が大きければ大きいほどオーバーラップを増やし、マットレス縫合をたくさん行っていきます。

延長部分の移植軟骨も軟骨同士をマットレス縫合で密に丁寧に軟骨を痛めないように10か所近く固定していきます。

もちろんここで移植した2枚の軟骨をまっすぐになるように保持しながら縫合していかなければなりません。

こんな作業をクローズアプローチでできる先生は神業の持ち主だと思います(私には当分、いや一生できないかもしれません)。