症例写真の見方 後編

今回は前回の続きで、症例写真の見方がテーマになります。

前回は症例写真についての一般的な話と、

症例写真を見ながらどういう情報を集めていくか、という点について書きました。

今回のテーマは

写真の落とし穴

についてになります。

これを読めば、before after の写真が正確かどうかを見抜くことができるようになり

さらにはクリニックやドクターの信頼度もある程度わかるようになると思います!

  • そもそも症例写真とは?(前編)
  • みるべきポイント(前編)
  • 見落としがちな注意点

見落としがちな注意点

前編に書きましたが、クリニック側の症例写真には、良い結果に見せたい!という気持ちが働いてしまいます。
ですが、だからといってズルは良くないですよね。

チェックすべきは、『before afterで撮影条件が揃っているか?』です。

カウンセリングの際に、他院の症例写真を持参される方は結構いらっしゃいます。

そういう場合は一緒に写真を見ていきながら話をさせていただくのですが、

体感的に、持ってきていただく写真の半数程度はなんらかの撮影条件の違いがあるように思います。

もちろんほとんどは故意ではないと思いますが、残念ながら

「ちょっとこれは意図的かも。良くないんじゃないかなー」

と思う事もあります。

わずかな修正や撮影条件の違いを見抜くのは大変ですが、下に書く点を参考にすると意外とわかるものです。

チェックすべき項目 注意レベル

  • 背景       ★
  • 魚眼レンズ効果  ★★★
  • 顔の角度     ★★
  • 照明       ★

背景
 症例写真の多くは、背景が「黒」「グレー」「ブルー」「ベージュ」などでクリニックによって統一されています。
 これが術前術後で全く違う、となると、雰囲気が違って見えてしまう場合があります。

魚眼レンズ効果
 ざっくり言うとカメラから被写体までの距離が近いと魚眼レンズっぽく写ってしまいます。

※当院スタッフに協力してもらいました!魚眼レンズっぽく撮るとこうなります。(同日同一照明下での撮影 iphone 11pro)

 

 同一人物です。左は少し離れて撮影、右はギリギリまで近づいて撮影しています。
 その人本来の姿に近いのは、圧倒的に左です。
 つまり右の魚眼写真は、症例写真として不適切、という事ですね。
 「全然違うからすぐわかるじゃん」と思うかもしれません。
 しかし、「左が鼻の手術の術後 右が鼻の手術の術前 です。」 という情報があったらどうでしょう。
 鼻周辺以外が隠されていたら??
 実際には何も変わっていないのに、まるで鼻先の丸みがなくなったような錯覚が生まれてしまう可能性があるんです。

顔の角度
 自撮りをよくされる方であればピンときやすいと思いますが、
 顎を引いた状態と顎を突き出した状態では見え方が大きく変わってしまいます。
 顎を引けばそれだけで、自然と上目遣いになり、鼻の孔は見えにくく、鼻下は短く見えます。
 さらに人中短縮や鼻翼縮小の傷跡はそもそも見えなくなってしまう事もあります。

照明
 照明、フラッシュ。これも術前術後で揃えるべきでしょう。
 影を強調するためにフラッシュを使わない撮影方法もあると思いますが、
 術前は影を目立たせ、術後はフラッシュで、というのはNGでしょう。

いかがでしょうか。このように書くと大変だと思われるかもしませんが、
少し意識するだけでも、見方が変わってくると思います。

最後に、ドクター側の視点から、この点は許して欲しい、という点もいくつか挙げておきましょう。

  • 患者様の要望によって、手術結果に関係のない目立つ黒子などを修正して消した場合。
  • 化粧の有無。
    「beforeの写真はスッピンなのに、afterの写真はバッチリメイクしててずるいじゃん。」
    自分もそう思っていた時期がありました。
    が、現実問題、検診に何がなんでもスッピンで来てくれ、というのは負担が大きいのかなと思います。
    もちろん手術した結果がわからなくなってしまってはダメですが。
  • 意図しない撮影条件の違い
    いろいろ書きましたが、完璧に条件を揃えて撮影するのは、実はかなり難しいです
    特に顔の角度など、毎回きちんと揃えて撮るにはかなりの慣れと技術が必要です。
    (当院には上手なスタッフがいるので安心です。)
    また撮影機材を変えたタイミングであれば、少し条件が変わってしまうのは仕方ない事かもしれません。

なるべく条件を揃えて撮ろうという努力が見えていればセーフ

と思って欲しいと言うのも本音です。

余談ですが、やはり形成外科出身の先生ほど、写真をきちんと扱っているなという印象があります。

カンファレンスや症例レポート、論文などに使う写真を上級医に見てもらい

「こんな写真は全然ダメ。」と何度もダメ出しされるうちに写真を大事に考えるようになります。

形成外科時代の恩師はよく

「写真は形成外科医の財産」と言っていました。

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