美容外科手術でトラブルを避けるために42

肋軟骨による鼻中隔延長術(SEG)です。

肋軟骨採取で一番気を付けなければいけないのは「気胸」です。

気胸になったといっても脱気用のチューブを術後数日挿入して脱気すれば特に問題ないのですが、患者さんに負担をかけてしまいますのでできれば避けたいものです。

私でいえば過去に1例経験がありますが、肋軟骨を最初に切り離したときに壁側胸膜が裂けて気胸になりました。

裏側の軟骨膜が十分に剥離されていない状態で軟骨が切り離されたことと、どうしても軟骨の裏側にアプローチしようと持ち上げすぎたことが原因と思われます。

15年ぐらい前にこの1例を経験した後、この原因に気を付けて採取するようにしてからは1例も発生していません。

もう一つ問題なるのは肋軟骨の骨化です。

加齢とともに肋軟骨の骨化が認められる傾向にありますが、必ずしもそうではないようです。

30歳前後の患者さんで第6肋軟骨全長にわたって広範に重度の骨化がみられたことがあります。

逆に40歳代でも全く骨化がない方もおられます。

肋軟骨の骨化がひどいと切り離すことすら難しい場合があり、切り離して採取できたとしても加工が非常に難しくて思ったような形や薄さが得られないことがあります。

しかも骨化がひどい肋軟骨片は固定のために使用する針糸が通らないこともあって難渋します。

術前に肋軟骨の骨化の程度を知る方法として胸部レントゲン写真がありますが、肋軟骨の骨化がひどい症例以外は、正確な判断はかなり難しいものです。

胸部CTを撮るとかなり正確に軟骨内の骨化を知ることができますので、術前に撮るようにしています。

かなり小さい骨化でもCTでは描出されることを確認しています。